救急医療では患者が手遅れとなる前に診療を開始することが重要であり、緊急度・重症度が高い症例に対応できる専門医が必要です。当科の後期研修は、当科を基幹病院とした「東京大学救急科総合研修プログラム」のもと行います。
救急医療の領域は大きく分けると5つです。
『ドクターカーやドクターヘリを中心にした病院前診療・メディカルコントロール・災害医療』、『ER』、加えて『acute care surgeonや外傷外科、IVRや緊急内視鏡などのサブスペシャリティ領域』、そして『クリティカルケア』です。もうひとつの重要な領域は、『急な傷病の予防』です。主にERに従事したいと思っている人も、クリティカルケアの達人を目指す人も、それぞれの領域を一定期間研修します。しばしば地場産業と比喩される地域救急医療体制において、地域や医療機関ごとに救急科の医師が求められる責務は多様です。それに弾力的に、かつ臨機応変、当意即妙に対応できる専門医を輩出するため、本プログラムを提供いたします。
本研修プログラムは基幹施設と連携施設の病院群で行われます。東京大学医学部附属病院救急科は、救急部、集中治療部、災害マネージメント部が一体となって一つの組織となっています。
外来診療部門としては救命救急センターと救急外来、病棟部門としては救急病棟、ICU、救命救急センターICUでの診療を担当し、院内急変にも全例で対応しています。従って、研修期間を通して、救急・集中治療・災害医療の研修を行うことができます。当院は集中治療専門医施設として認定されており、集中治療専門医の取得も可能です。また当科では、病院全体の医療安全や病棟運用に積極的に関わっています。また災害マネ-ジメント部の運営に関わっており、災害医療ならびに災害医学に力をいれています。
さらに当科では、救急科領域研修後に、大学院進学や留学によって研究に携わる医師も少なくありません。大学院生は、研究テーマに応じて他の専門分野の診療科や他の学部の専門家による指導を受けることが可能であり、研究は基礎研究から、臨床疫学研究、医療情報学研究、工学部との共同研究による新規デバイス作成に至るまで、多岐にわたっています。
医学領域を問わず高水準にある専門家の指導を受けられる点は、総合大学としての本学の強みのひとつです。
以下に、3年間大学病院に勤務を続けた場合の役割や目標を例示します。
1年目
主に救急外来の日勤と夜勤をローテーションし、残りの期間はICUをローテーションします。救急外来では上級医、3-5名の初期研修医と共に、消防庁ホットライン症例(三次救急)への対応、通常の救急車(二次救急)への対応を行います。日中は救急HCU病棟の管理も行い、夜間は加えて救命センターICUの管理も行います。ICUでは上級医と共に全身管理を学びます。
目標:
2年目
主にICU及び救命センターICU(EICU)の日勤をローテーションし、残りの期間は救急外来をローテーションします。ICU/EICUでは初期研修医、他科からのローテーション医師と共に、中心的立場となり重症患者の全身管理を行います。救急外来でも、より指導的な立場を担います。臨床研究について学び、大学院生や指導医と一緒に研究の一翼を担います。
目標:
3年目
ICU/EICU/救急外来をローテーションし、初期研修医・下級生に対する指導的立場を担いつつ、専門医取得のための準備を行います。また症例報告に留まらず、自分でデザインした臨床研究で論文を書く事を目指します。
目標: